エンゲージメントは「従業員満足度」でも「モチベーション」でもない

「従業員のエンゲージメントを高めること」が「利益」を生む

サティスファクション・ミラーという言葉を聞いたことがありますか?従業員の満足度が高まると、顧客の満足度も高まるという相関のことでジェームズ・ヘスケットという教授が提唱している概念です。

僕は下記の本で知りました。

組織の未来はエンゲージメントで決まる

組織の未来はエンゲージメントで決まる

 

 この本ではそれを下記のように説明しております。

まず組織が従業員を大事にすれば(それによって従業員のエンゲージメントが高まれば)、従業員は顧客に良いサービスを提供する。すると顧客はさらにそのサービスを利用するようになり、企業の売り上げと利益が増大します。企業はその利益を使ってさらに従業員を大切にすることができます。

現在様々なところで、「従業員のエンゲージメントを高めよ」と言われているかと思います。ブラック企業が注目されるように、個人個人が企業で働く上で幸せを追求する「働き方改革」の文脈において注目されているという見方もあるかと思いますが、僕はこういった主張は最終的に「企業の利益になるから」という主張に帰結する方が納得感が強いと思ってます。

漠然とそりゃそうだような、と誰しもが感じています。エンゲージメントが高い方が、戦略や施策を練るようなクリエイティブな仕事をしている層においても、それを精度高く実行する層においてもいいに決まっています。

僕もその通りだと思っており、この本にはどうしたらそれを実現できるのか?と期待して読みました。しかし、最終的には「経営者だけが意識するものではなく、従業員側のマインドも大事だよな」との見解に至りました。

 

そもそもエンゲージメントとは?

従業員の一人ひとりが企業の掲げる戦略・目標を適切に理解し、自発的に自分の力を発揮する貢献意欲

これが本書でいうエンゲージメントの定義です。理解する上で大事なのは、下記の概念と混同しないこと。

  • 「従業員満足度」→組織が与えるもの
  • 「モチベーション」→個人が感じるもの
  • 「ロイヤルティ」→上下関係が生み出すもの
  • 「エンゲージメント」→相互の対等な関係に基づくもの

例えば、給与を上げたり、休みを増やしたりするのは、従業員満足度が上がるかもしれませんが、その先の利益があがるかはわかりません。実際には従業員の感じ方として、「この会社はいい会社だ、もっとがんばろう」というよりは、せいぜい「ラッキー、休み増えた」レベルにしか感じないのではないでしょうか。

なので、その他の指標と履き違えると、なんのための施策なのかわからなくなります。また一時的な満足度が高まるかもしれないですがやがて慣れるので、定期的に施策を打ち続けなければならないように思えます。

では、どうすればエンゲージメントが高まるのでしょうか?

f:id:blogtomizawa:20181231164624j:plain

ビジョナリーであること、対話をすること

ビジョナリーであること

まずは、定義の前半部分「従業員の一人ひとりが企業の掲げる戦略・目標を適切に理解する」に関するもの。

その会社が実現しようとする未来に共感できること、そしてそれをやりたいと思っていること(ビジョナリーであること)が大事だとうことです。それは入社してからも醸成できるかと思いますが、ある程度の方向性の類似がないと難しい。なので、採用活動の重要性は年々増してきているような気がします。

また、実際はというとそこまでビジョンに動機付けて働けている人が少ないと思ってます。これは採用の面接をしていても感じます。多くの人にとって、綺語活動で成し遂げたいことと、個人で成し遂げたいことをリンクさせるのは非常に難しいことです。本書でもそのようなデータが紹介されておりました。

JTBモチベーションズが2012年に行った調査では、自社の企業理念を説明できると回答した一般社員は全体の33%にとどまっています。

ビジョナリーに働ける人が少なくても採用力を強化して、そのような人を採用すればいいということになります。しかし、それでは特定の採用力の強い会社は良い気がしますが、そうではない会社はどうしたらいいのか?という問いが残ったまま少しもやっとしてしまいます。

なので、ビジョンでマッチングする雇用をもっと増やさなくてはならない。

企業側は

⑴明確なビジョンを掲げること

⑵社外に対してそれをわかりやすく公表すること

⑶足元の採用進捗が悪くても、ビジョンと遠い人は採用しないこと

を徹底すべきですし、一方で個人は「自分がエンゲージメント高く働くためのビジョンは何か?」を自問自答し続けることが大事なんだと思います。

対話をすること

2点目は、定義の後半部分「自発的に自分の力を発揮する貢献意欲」に関するもの。

会社と従業員の関係において、一人ひとりとのきめ細やかな対話が必要であるということです。上記の「ビジョナリーであること」は「会社に対する大枠の捉え方(関わりの持てない広範囲も含む)」であることに対して、「対話すること」とは「自分の関わりの範囲内」でエンゲージメントを高められるかという視点で捉えています。

その上で大事なのが、特に直属のマネジャーとの対話。つまり1on1ミーティングなどの機会です。1on1では、マンジャーは「支援役」に徹底することが大切だということ。「指導」や「管理」ではなく、「支援」。部下のパフォーマンスやスキル向上の文脈だけではなく、こうしたマネジャーの姿勢は、部下の心理的安全性を高めることによりエンゲージメントを高めることに貢献します。

 

従業員側が自らエンゲージメントを高める

以上、エンゲージメントを高める上で有効なポイントを整理してみました。

一方で、こうした議論は経営者やマネジャー側の側面、つまり会社の作り手の視点で語られることが多いですが、僕は従業員こそ考えるべきだと思います。「自らエンゲージメントを高める」という視点に立つということ。

エンゲージメントとは「相互に対等な関係に基づくもの」でした。ということは、従業員も会社と同じくらいビジョンについて考えなくてはならないし、会社と対話しなくてはならない。

しかしやはり会社と従業員では、会社の方が立場上強いので、従業員からした時のその対話のハードルは上がります。そのハードルをクリアできないが故に、「会社はいうことを聞いてくれない」と判断し、転職を繰り返すようでは個人の力量があがらなくなり、最終的にはその従業員はどんどんエンゲージメントの高くなる会社を見つけられなくなるということ。これは社会全体としてはマイナスの影響です。

なので、繰り返しになりますが、従業員、つまり我々は、

1)ビジョンに共感する会社を見つける

2)会社と対話する努力を怠らない

という、会社側が大事にしなくてはならない論点の裏返しで思考していなくてはならないのだと思います。

 

今日も最後まで読了いただきまして、ありがとうございます!!