「不確実な世の中」を生き抜く思考法(センスのいらない経営)

なぜ読んだか

同い年の経営者

著者である福島さんは4-5年前から若手起業家として注目されており、僕と同い年だったのでなんとくずっと気になる存在でした。

どんな経緯でグノシーを成長させてきたのか?またどんな考えを持っているのか?

そして、グノシーにエンジニアとして働いている友人がいたこともあり、心理的に距離が近いので、著者の本が出版されたのを認識した瞬間にAMZONでポチりました。

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どうだったか

地に足のついた秀才

以前、僕が製薬会社でMRとして社用車で営業をしているとき、夜20時くらいのラジオに福島さんがゲスト出演していたことがありました。エンジニア出身ということがあってからか、僕が営業という一機能でしかビジネスを経験してなかったからか、正直よく聞くような起業家の話だなぁとかなり自分にとって遠い存在・ある意味住む世界が違うような感覚を覚えました。

そのとき、グノシーで働いている友人に対して、「なんかすごい人だよね」としか言えなかったのをよく覚えています。

しかし、本書を読んで、当時のそんな漠然とした感想ではなく、

  • 一般のビジネスマンに近い感覚で仕事をしていて、だがしかし経験×思考のボリュームが圧倒的に多い
  • 変数の多い難しい環境で数々の意思決定をし、数々の失敗と成功を繰り返してきた
  • 未来はあくまで読み切ることができないという前提、だがしかし自分なりの仮説を立てて確からしいところに対しては徹底的に追求し投資するという地に足のついた思想をお持ちの方

ということがよくわかりました(完全に僕個人の感想ですが)。

一方で、上記のような感想を持てたのは僕も大企業からベンチャー企業に転職し、ビジネスの全体感を捉えながら自分で意思決定する経験を積むことができたから、上記の凄みが理解できたのではないかと考えると、過去と比較して少し成長を実感できるような経験でもありました。こういう感覚は大事にしたいなと。

 

世の中の仕組みを捉えるのがうまい(というか大事にしている)

会社の意思決定を行う際に、世の中の動き、つまり個人では変え得ることのできない大きな流れをしっかり冷静に捉え、その動きに合わせるように自社の動きも決めていくという姿勢が見えました。特に、テクノロジーと人間の仕事の境界線についてはかなり思考が進んでいるという印象です。この分野では継続的にフォローすべき人物なんだと思います。

機械にできる、もしくは自動化できるタスクは機械にやってもらい、人間は、目的の設定、モデルの設計、意思決定というような、機械にはできないことをする。そんな「機械と人間の分業体制」を上手に成り立たせることが、ビジネス的な成功を左右するようになっています。(p21)

テクノロジーの順序でビジネスを展開する。その順番を考える上で、重要な要素として、「速さ」があります。テクノロジー自体の進化の速さ、世の中への普及の速さ、ビジネスとしてキャッシュフローの速さです。(p28)

 

30前後世代にとって多くの”学び”と”共感”がある

物心がつくころから不景気だった僕たち30歳前後世代にとって、世の中というのは僕たちが思い描く通りに進んでくれるものではないと知ってます。むしろ、それを前提とした上で個人の人生をどう充実させるか、という思考になる人が多いのだと思います。その中で、一定自分に限界を決めてしまったり、今安定してればいいと未来に対して思考停止になってしまったりという人も多いと思います。

しかし、グノシーのように着実に世の中に新しい価値を提示し、着実に成長できる会社もあります。それは、かつての高度経済成長時代のように誰もが一定恩恵を得られる(また得た気分になれる)ような「確実性」はないけれど、つまり「不確実な世の中」であるということを当たり前の「事実」として認識しているからこそ、その時代にあった思考でいようよ、というスタンスがなくてはなりません。

逆に言えば、僕たちはそれが当たり前なので、おっさん世代に変に影響を受けることなく、僕たちの世代の考えで仕事に向き合うべきなのだと思います。

そういった思考が読み取れる一文がありました(↓)。

これまでの日本型経営にはあまり意味がない

一時期、多くの日本企業が急激に成長しました。その中で「日本型経営」と呼ばれるような経営方法が確立したのだと思います。誤解を恐れずに言えば、そこにあまり意味がないのだと思います。経営メソッドが正しかったのではなく、単に人口ボーナスの影響が大きかっただけなのかもしれません。

これは僕も体感として正しい気がしており、そこ(日本型経営)に本当の実力があるかと言ったら、大企業でおっさん方の下で働いていた限りでは、noと言わざるを得ません。一部の大企業の幹部などは洗練されたものがあったかもしれませんが、個人に行き渡るものではなかったのだと思います。

 「不確実な世の中」を生き抜く思考

じゃあ、どういう働き方がいいのか。後半第4章では、そこがテーマになっているので読み応えがあります(どんなビジネスマンにも示唆があると思います)。

個人的に特に印象に残ったのが下記になります。

決断の総量を増やしていくことが大事なのだと思います。いきなり正しいことに辿りつくことはできません。「このあたりが正しいだろう」と思うところへ向けて進み、その方向を都度決めていく。そうしてジグザクと試行錯誤しながらようやく正解に辿りつけるのだと思います。

不確実な世の中だからこそ、意思決定の量で勝負するということ。わからないものはわからないという前提にたち、意思決定の量、そして実行からのフィードバックを得て、わかる領域を増やしていく、このトライ&エラーを大事にするということです。

その意思決定の際のポイントは

70%の確度であればやっちゃえという攻めのスタンス(↓下記参照)と、

「正しい判断」を求めて時間をかけるというのは、自分の中で判断基準が明確ではないからです。そういう自分の基準がない人ほど、「もっと情報がほしい」「まだ決められない」といって判断を先送りしてしまいます。(中略)アマゾンの車内には「70%の情報が出揃ったら意思決定するというルールがあり、100%の情報がそろったら判断するよりも奨励されているそうです。

だけどやるときは、まず小さく試してエラーのインパクトを見極めようねというリスクヘッジ(守り)のスタンス(↓下記参照)

実験の結果は読みきれませんが、リスクは読める。リスクはある程度、数理的にコントロールできるものなのです。

の双方を持ち合わせていなくてはなりません。もちろん個人でどっちも持っていたなら理想的ですし、組織として双方の思考をもっている人が意思決定に関わっていればよいのだと思います。

最後に

「走りながら考える」

目標はどれだけブレてもいい。スタートの段階で決めている「行程」など、大したことではありません。後になって振り返ってみたとき、個別具体的にみれば間違っていることはたくさんあるはずです。(中略)「考えきってから走り出す」のではなく、「走りながら考える」のです。

 なによりもまずはやってみること。エンジニア出身の方とは多く関わってはいませんが(ボキャブラリーや思考経路が全然違って、どうしても"気軽感"がでないので(多分双方感じていること))、こんな攻めの姿勢なんだ、ということにセールス出身の僕としても共感を覚えました。

 

また今回、グノシーの成長とそれを支える思考法という、ある意味具体的で各論の話が多い本を読んで思ったのが、こういった具体の生々しいエピソードのある本と、いわゆる一般化された抽象度の高いビジネス教養本を交互にリズムよく読むと良いということ。やはり、具体の本は共感やシンパシーを感じやすい反面、全てに共感を覚えわけではないので、そういった共感や違和感を通じて自分の考えやスタンスが整理されていくのだと思います。抽象度の高い本はある意味どれも正解のように見えてしまうことが多いので、それぞれの良さがあるなと。

 

そして何よりも具体の話は単純に面白い。エンターテイメント性があるということです。私生活で恋愛を楽しんでいる人がドラマや映画の恋愛をエンターテイメントと捉えるように、仕事を楽しんでいる人にとってはビジネス本はエンターテイメントになり得るのかなと気づきました。

なんで、今後もそのサイクルでやっていきます。

 

 

今回も最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

 

センスのいらない経営

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